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最後の息子

最後の息子

氏の初期の作品。3つの中編で構成された一冊。繊細で押し付けがましくない情景や心理の描写がいいです。どれもいいと思ったけれど、好きなのは一番最初の「最後の息子」。おかまの「閻魔ちゃん」と暮らす主人公が撮影したビデオを通して語られる、ビデオ日記のような編。現代のなんというか力が入ってない無気力ともいえる、しかし、優しさや思いやりのある男子の描写はこの時代にマッチしていて、とても好きな作家さんです。