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学生のときのいじめが原因で引きこもりとなってしまった鳥井と、その鳥井をどうにかして外に出そうとする本編の語り手でもある坂木。鳥井をどうにかして外に連れ出した時に事件に遭遇、引きこもりの鳥井が事件を解決する。
「青空の卵」は、ちょっと青臭く、そして鳥井と坂木の男同士の関係が...単純に気持ち悪いかも...と思ってしまう節もあるけれど(友人同士だけど兄弟を通り越し恋人?なところがあるので..)そのストーリーはとても優しく爽やかで、すらすらと読み終わる。鳥井と坂木の物語に第二部、第三部がある事を知り、他の本を読もうかなと思うも、なんというか、鳥井と坂木が気になってしょうがなく、後ろ髪を引かれるという感じで続けて読む。
第二部の「仔羊の巣」は、坂木の顧客である下町のじいさん「栄三郎さん」の人情味溢れるキャラが立っている。引き続き、登場人物達の会話が多少青臭い所があって、鳥井と坂木の関係は、やっぱりちょっと気持ち悪いかなぁと思いつつも、読み終わってみると、なんだかんだと言っても好印象。なんだろうか、この不思議な感じは。
完結編である第三部「動物園の鳥」。前作達は短編集だったけど、長編となっていて、いじめ、ポイ捨て、動物虐待と重いテーマに沿って物語は進む。やっぱり青臭い所はあるんだけど、最後がささやかに話が終わる所が、ずるいなと思ってしまった。おそらく好きか嫌いか、はっきり別れる作品だと思う。ちなみに私は、ああだこうだ言ってますが、好きです。(たぶん主人公達と年が近い人(27歳くらいかな?)はだめかもしれない。こんなんある訳ないじゃん!って、きっとその世代は思ってしまうと思う。)
そうそう、鳥井の趣味は全国名菓お取り寄せと、そりゃもう美味しそうでお腹が空いてる時に読んじゃだめ!ってくらいの料理なんだけど、完結編の動物園の鳥の巻末には、お取り寄せ名菓集と、物語に出てきた料理のレシピがついてます。
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- 作者: 坂木司
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久しぶりに自分の「枠」にぴったりはまった本を読んだ気分。ミステリーだけど、犯罪もない、血もない、死人も出ない、どろどろしてない。今ではそんなに数がないだろうと思われる活気ある商店街のクリーニング屋さんの息子の回りで起こる、クリーニングや商店街にまつわるミステリー。父親の死を通して、人との温かい切れない繋がり、切れない自分の居場所をじんわりやんわり感じていく主人公。いい本を読んで、新春に爽やかな気分。